糠信秀企は、ガス給湯器の無料点検を装って高齢者の住宅を訪問し、必要のない交換工事を契約させた疑いで逮捕されています。糠信秀企は住宅リフォームなどを手掛ける「大安設備」の実質的経営者とされ、男性従業員らを含む8人が詐欺などの疑いで捜査対象になりました。2023年以降の契約は約7600件、売り上げは約22億円に達するとみられています。
今回の事件で特徴的なのは、給湯器の不具合を単に指摘したのではなく、「一酸化炭素の濃度が基準値を超えている」「このままでは火事になる」などと不安をあおり、交換を急がせたとされる点です。糠信秀企らは、丁寧な話し方や点検を装った訪問で信用を得たうえで、70歳以上の高齢者を中心に契約を迫っていたとみられます。
糠信秀企ら8人が逮捕された事件の概要
警視庁は、ガス機器販売会社「大安設備」の実質的経営者とされる糠信秀企ら8人を、詐欺や特定商取引法違反の疑いで逮捕しました。逮捕容疑では、2025年3月から9月にかけて、東京都や京都府、広島県の70代から80代の男女4人の住宅を訪問し、給湯器の交換工事代金として計約99万円をだまし取った疑いが持たれています。
糠信秀企らは、電話でガス給湯器の点検を持ちかけ、訪問先で屋外の給湯器を確認した後、持参した機器を当てて警報音を鳴らしていたと伝えられています。そのうえで、一酸化炭素の数値が危険な水準にあるかのように説明し、「今契約した方がいい」「来月になると高くなる」と工事を急がせたとされています。
警視庁の調べでは、被害者の平均年齢は81歳で、最高齢は103歳でした。認知症のある人や視覚障害のある男性も被害に遭ったとされ、糠信秀企らが高齢者の不安や判断の難しさにつけ込んでいた実態が浮かびます。約5900人を訪問して約8億5000万円を売り上げたという捜査情報もあり、前身会社の時期を含めると被害規模はさらに大きくなるとみられています。
「一酸化炭素50ppm」を基準値のように説明
糠信秀企らの手口をめぐっては、給湯器の交換が必要な状態ではない住宅で、一酸化炭素の数値を示しながら不具合があるように説明したことが問題になっています。東京都が2025年8月に公表した行政処分資料では、前身会社について、法令上の根拠がないにもかかわらず一酸化炭素濃度50ppmを交換の基準値として伝え、「不完全燃焼して危ない」「すぐに取り替えないと危険」などと説明していたとされています。
実際の訪問では、点検を口実に屋外の給湯器を見せてもらい、数値や警報音を使って住民を動揺させたとされています。機械の表示や専門用語が出てくると、ガス機器に詳しくない人ほど説明を疑いにくくなります。糠信秀企らは、設備の状態を落ち着いて確認する時間を与えず、その場で契約を結ばせる方向へ話を進めていたとみられます。
娘に相談して契約を保留、土壇場で被害を免れたケース
テレビ朝日の報道では、糠信秀企らの会社から勧誘を受けた80代男性が、給湯器やガスコンロの交換を勧められた経緯を語っています。男性は、電話で無料点検を案内された後に担当者の訪問を受け、「給湯器は10年以上経っているから交換する時期」「ガスコンロを放置すると火事のもとになる」と説明されたとしています。
男性は担当者の説明を受け、ガスコンロの交換契約書にその場で同意しました。しかし宇都宮に住む娘へ相談したところ、契約を保留した方がよいと言われました。男性が会社へ保留を申し出ると、担当者は「もう材料を用意してしまったので保留できない」と答えたとされています。
男性は自治会を通じて警察にも相談し、最終的には工事を止めることができました。糠信秀企らの事件では、担当者が親切そうに対応することで信用を得ていたという被害者の説明もあり、点検の電話から訪問、危険の説明、契約の即決へ進む流れが明らかになっています。
前身会社は東京都から6か月の業務停止命令
糠信秀企については、今回の逮捕に先立ち、前身会社の訪問販売をめぐって東京都から行政処分を受けていたことも分かっています。東京都は2025年8月、ガス給湯器交換工事などを勧誘していた株式会社ONE&ONEに対し、特定商取引法に基づく6か月間の業務停止命令を出しました。
行政処分の資料では、同社が電話で「10年の法定点検を過ぎているので至急点検が必要」「ガス給湯器の点検を行う」と伝え、訪問後も点検が目的であるように説明していたとされています。契約の勧誘目的を事前に告げなかったことや、給湯器メーカー、ガス小売事業者から委託を受けているかのように説明したことも問題とされました。
東京都の資料によると、給湯器の点検や交換をめぐる都内の消費生活相談は、2024年度に1784件に上り、前年度から大幅に増えました。行政は、電話があった時点で事業者名と点検の目的を確かめ、契約しているガス事業者からの委託かどうかを確認するよう案内しています。交換工事を勧められた場合も、その場で決めず、家族に相談して複数社から見積もりを取ることが勧められています。糠信秀企らの事件は、点検という言葉だけで安心せず、訪問販売の目的と工事内容を切り分ける必要性を示す事例になりました。
東京都は、前身会社の違反行為について、糠信秀企が少なくとも2024年12月まで代表取締役を務め、業務の遂行で主導的な役割を果たしていたと認定しています。また、糠信秀企本人に対しても、停止を命じた範囲の業務を新たに開始することを6か月間禁止しました。その後、大安設備へ移る形で同様の手口が続いたとみられており、会社名を変えた後の営業実態が今回の捜査で調べられています。
糠信秀企のプロフィール
| 項目 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 名前 | 糠信秀企 |
| 年齢 | 36歳 |
| 立場 | 大安設備の実質的経営者と報道 |
| 会社所在地 | 東京都新宿区のガス機器販売会社 |
| 逮捕容疑 | 給湯器工事代金の詐欺、特定商取引法違反などの疑い |
| 前身会社 | 株式会社ONE&ONE |
| 行政処分 | 前身会社に6か月の業務停止命令、本人にも業務禁止命令 |
報道で確認できる糠信秀企のプロフィールは、36歳で、東京都新宿区のガス機器販売会社「大安設備」の実質的経営者とされていることです。前身会社の行政処分資料には、糠信秀企が同社の代表取締役として訪問販売の業務を主導していたことが記されています。学歴や家族構成、現在の詳しい勤務状況などは公表されていません。
糠信秀企の画像・顔写真は?テレ朝NEWSで報道写真を確認
糠信秀企の顔画像については、テレビ朝日の写真ギャラリーに本人の顔が分かる報道写真が掲載されています。写真3枚目には、警察官とみられる人物に付き添われ、うつむきながら歩く糠信秀企の姿が写っており、画面下部に名前と36歳という表示も確認できます。

報道写真では作業服姿ではなく、逮捕時とみられる場面が使われており、事件の報道映像とともに本人の姿を確認できる資料になっています。
今回の点検商法で確認されている被害規模
糠信秀企らは2023年以降、給湯器の点検商法で約7600件の契約を結び、約22億円を売り上げたとみられています。共同通信の報道では、2025年1月からの約1年間に19都府県の約5900人を訪問し、約8億5000万円を売り上げたとして捜査が進められています。報道によって集計期間や金額の表現は異なりますが、広い地域で多数の高齢者へ訪問営業をしていた点は共通しています。
逮捕容疑として示されているのは、高齢の男女4人から計約99万円をだまし取った疑いです。捜査では、実際に給湯器の交換が必要だったのか、説明された一酸化炭素の数値が正しいものだったのか、契約金額が工事内容に見合っていたのかが確認されます。大規模な売り上げの中に、同じ説明で結ばれた契約がどれだけ含まれるのかも焦点になります。
今後の焦点は会社名変更後の営業実態と資金の流れ
糠信秀企らについては、前身会社に行政処分が出た後も、会社名を変えて同様の訪問販売を続けたとみられています。警視庁は、会社の設立や従業員の移動、電話による勧誘の方法、訪問先のリスト、契約書や見積書の作成過程などを調べています。押収された一酸化炭素を測る機器や作業服が、実際の営業でどのように使われていたのかも確認事項になります。
また、契約金として集めた資金が会社の売り上げとして処理されていたのか、関係者へどのように分配されていたのか、被害回復に充てられる財産が残っているのかも捜査上の焦点です。8人の役割分担や、糠信秀企が営業方針や契約の判断にどこまで関与していたのかによって、事件の全体像が変わってきます。
糠信秀企ら8人の認否は、警視庁が明らかにしていません。逮捕された段階では有罪が確定したわけではなく、今後は個別の契約状況、被害者の説明、点検機器の使用状況、行政処分後の営業記録などを踏まえて事実関係が判断されます。
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